中国で暗号化解除義務の反テロ法案成立

昨年、フランスのパリで起きたテロ事件以来、暗号化技術が政治的な標的にされる懸念を伝えてきましたが、先月末、こっそりと中国で暗号化解除義務の反テロ法案が成立しました。

「中国だから」と思われるかもしれませんが、中身は前回、英国で審議中と伝えた法案の内容とほぼ同じです。米国は立場上は懸念を表明していますが、米国内で同じことをしようと議論していますので、中国側から逆に「ダブルスタンダード」だと非難されています。

今回の内容は、中国国内の通信会社やインターネットプロバイダーに暗号鍵の提出を求めており、いわゆる当局が通信を傍受するためのバックドアを設けるというものです。

しかし、状況はそんなに単純なものではないでしょう。当局がバックドアを設けていると分かれば、さらにテロ組織の地下活動が増えるだけで、結局、一般ユーザへの監視が強化されただけということになりかねません。(実際は、そちらが真の目的という説もあります。)

そうなると、機密保護のために第三者の影響を受けない自前の暗号鍵管理の技術は今後さらに重要な役割を果たすことになりそうです。プライベート空間での暗号鍵管理を当局が規制することは、かなり難しいでしょうから、今後そのような技術の普及のきっかけとなる出来事になるかもしれません。

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