世界中で自動運転車の開発が活発に行なわれるようになり、実用化が目の前に迫っています。特に安全性の議論が活発に行なわれていて、自動運転車へのサイバー攻撃に対して、システムとデータの保護が不可欠であるとして、日本とドイツが中心となって国連の分科会で自動運転車の基本的な考え方のガイドラインがまとめられました。
このなかでもデータと通信の暗号化は世界標準のものを用いることが推奨されており、今後の自動車産業にも大きな影響を与えるものと思われます。今でも、自動車は十分に電子化されていますが、あくまでもドライバーの運転を補助するため機能でしたので、暗号化の必要性というのはありませんでした。しかし、外部の情報と連携して自律的に動作する自動運転者は常にハッキングと戦わなければなりませんので暗号化が必須とされたのです。
また、それだけが問題ではありません。
自動車はマイクロ秒単位で制御が求められるリアルタイムコンピューティングという特殊な世界です。Windows、Mac、iOSやAndroidといった私たちが考えている一般的なコンピュータのように、すこし反応が遅くても気にしないというわけにはいかないのです。このような世界で処理に負荷のかかる暗号化に求められる性能はとても厳しいものになります。
暗号化のICチップも多く発表されるようになりましたし、この自動運転車の暗号化のガイドラインが今後どのように具体化されていくのか注目していきたいと思います。