VPNと通信の秘密

中国ではグレートファイアウォールというインターネットの検閲システムがあるのは有名ですが、その監視を逃れるためにVPNを使うユーザが多くいました。しかし、最近、中国政府はそれを取り締まるために、無許可のVPNを禁止すると発表しました。どういう場合にVPNが許可されるのかは詳しくは分かりませんが、おそらく政府が必要い応じて検閲できない通信は不許可になるのでしょう。

ちなみに、日本国憲法では、第21条 第2項において
「検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。」
とありますので、VPNに制限はないと考えるのが一般的ですが、実際には犯罪捜査などの名目で警察などによる通信の盗聴等は許可されており、米国のスノーデン事件にも見られるようにインターネット上においても諜報機関が盗聴をしていることが明らかになっており、現状では通信の秘密はかなり侵されています。

VPNとは、そもそもバーチャルプライベートネットワークの略で、通信を暗号化して情報の漏えいを防ぐ技術です。インターネットで利用する場合はインターネットVPNとも呼ばれ、企業間の通信のために専用線を使わずに安価なインターネットを利用することでコストを削減し、安全な通信を実現しています。

では、なぜ暗号化しているのに盗聴が可能になるのでしょうか?
盗聴が簡単なのは、サーバを経由する通信です。通常はサーバ内では必ずデータは復元されていますので、盗聴はとても簡単になります。捜査機関がサービス事業者に協力を依頼するのはそのためです。SNSなどのサービスは必ず事業者のサーバを経由しますのでこれはとても簡単になります。

しかし、サーバを経由しないピアツーピアと呼ばれる1対1のVPN通信では、かなり盗聴は難しくなります。それを盗聴するには通信の暗号鍵が入手できないと不可能ですので、そのような暗号鍵を入手できるバックドアがないと中国ではVPNを利用できなくなるのかもしれません。